問責決議の影で定年問題

改正高齢者雇用法が成立=65歳まで継続義務付け
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012082900818


 意味のない問責決議で騒いでる場合じゃないだろ、ということで。


 企業は(前は)60が定年で、60になればみんないなくなることを前提にして毎年採用活動をしてきたわけで、それが法規制により65になる(以前から65にはなっているけれど、60以降の再雇用について全員を再雇用せず労使協定により基準を定めて一部を再雇用するという措置が可能であったものが、希望者全員について65までが義務化される改正)ことで、「5年分の余剰人員」が生まれることになるはずです。雇用の延長が義務化されれば、その分人件費の増加ということになります。さてその分の余剰人員と増加する人件費の抑制には、企業は新卒採用の抑制をもって臨まざるを得なくなるでしょう。

 労政審(第50回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000026wms.html)の厚労省担当者曰く、「若年雇用の問題はマッチングの問題」として、定年延長と新卒抑制には関連性がないとする立場であり、連合の労働者代表(新谷委員)曰く、「高齢層と若年者には企業にとっても代替性がない→ゆえに若年者の雇用を圧迫しない」とする見解のようなので、定年延長がアカンと言うためには、これを否定しなきゃいかんなぁという印象。
 連合の委員の言う、「代替性がないこと」について根拠にしている、The youth employment challenge | READ online←のOECD文書(37-38頁)については、高齢層と若年者の雇用率には強い正の相関関係があり、「高齢層を失業させることによって若年者の雇用は生まれない」ことを示すものである。しかしこのデータには非正規化率が表れないので、「高齢層の滞留によって新卒採用が抑制され、若年層の非正規化が進行する」ことと矛盾せず並び立つ。
 また、代替性がないゆえに企業は年代ごとの比率を維持しようとするはずであり、若年層の雇用を圧迫しないという主張に対しては、日本企業はそんなことはしてこなかったと簡単に言える。バブル崩壊後の日本企業が、業績の悪化に際して、年代ごとの比率の維持などせずに単に新卒採用を抑制した結果、いわゆる「就職氷河期」が訪れたことがその例といえる。
 定年が法律で延長される結果としては、業績の悪化によるものではないため整理解雇が認められる余地は当然なく、企業は、その限られた賃金原資の分配を考えたとき、年齢層比が崩れることを承知で新卒採用の抑制を行うしかないだろう、というのが私の予測です。

 つまり、高齢層の雇用の保障のために、またも若年層が割を食うのがこの法案だということです。年金支給開始年齢とのギャップ問題があるとしても、そのツケがどこにどう回るかを考えずに作られた法として、労働法をやる者の端くれとしてこの法律は許しがたいですね。

ILO資料の方は力尽きたのでまたの機会に…)

 それにしても、60-65歳の再雇用を強制しても新卒採用は減らないよ!という発想は、資本家は労働者に分配するべき無限の資本を持っていて、本当はいくらでも雇えるしもっと賃金上げれるはずだ、というレベルの発想を感じてしょうgわなにをすr(

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