子供の頃、スティーブンスンの「宝島」を、

宝島 (岩波少年文庫)

宝島 (岩波少年文庫)

 ↑これ で読みました。(もちろんもっと古い版で、表紙絵も別のものでした。)

 最近になって、県図書館で見つけた

宝島 (光文社古典新訳文庫)

宝島 (光文社古典新訳文庫)

 ↑この版で読み直しました。もちろん昔読んだものを細かに覚えているわけは無く、どう違うのかもよくわからないんですが(古い方もう残ってないし)、訳者あとがきに見られる『語』へのこだわりに感銘を覚えました。ただ語句を訳しても日本人に通じない「指ぬき」の話とか、訳の苦労話のようなものの端々からも、ああ、この人は本当にこの「宝島」が好きなんだな・・・という気配が漂っていました。

 そして、この訳者の村上博基という名前にどうも見覚えがあると思って本棚を覗いてみると、ちゃんとありました。

容赦なく〈上〉 (新潮文庫)

容赦なく〈上〉 (新潮文庫)

 ↑これの訳者の方でした。
 クランシーの「ジャック・ライアン」シリーズのうち、文春文庫から出ているものが、読んでいてちょこちょこ違和感を覚えることがあります。攻撃機の翼下の"硬い部分"に爆弾を・・・と言うくだりを見ておもわずフイタことを今でも覚えています。そりゃ原文にも hard point って書いてあるんだろうけどさ・・・それくらい違和感持って調べたりしない?とか思ったものです。
 シリーズの中盤以降は新潮文庫から出ていて、うち上に挙げた「容赦なく」と「レインボー・シックス」は、村上博基訳になっています。中でも「容赦なく」は、外伝的な作品ですが、シリーズ屈指の名作だと思います。村上氏はきっとアメリカの風俗から文化から軍事の専門用語までがんばって調べたんだろうな・・・と思います。もちろん自分で原文読んだわけじゃないし、訳の比較評価なんてする御身分じゃないですが、それでも確かなこだわりのようなものが感じられたように思います。