ヒトは、多種の波長の混ざった光を『白』として認識する。音においてもこれは同様で、白色光に当たるものは空電雑音のようなものが近い。そして音波は、さほど大きくないノイズであってもこれをかぶせるとかき消されて認識されなくなり、結果としてヒトは「何もない」と認識する。

 さて、これに近いものは実は身近にある。大雨が降っているとき、雨粒の一つ一つは落ちる場所も落ちる先の状態も様々であり、大小も周波数も様々な音が重なり合い、周囲のほかの音を、ヒトには聞き取れなくする。聞こえる音は雨音のみになり、個々の音を識別できない雨音は音として認識されなくなる。







こんなときに窓際で雨の音を聞いていると

すべての音が消え

外と中の境界が消え

魂が大気中を飛翔する。






雨が小降りになって現実に戻ってきても、何やら癒されたような気分になっている。

・・・実は寝ていただけかもしれない。