公選法とネット選挙と未成年

「RT、ダメですよ」――ネット選挙運動、未成年者は禁止 総務省が注意呼びかけITmediaニュース)

 いやおっしゃることは一応わかりますけどね。前提知識として、改正前公選法でも、137条の2第1項で、「年齢満二十歳未満の者は、選挙運動をすることができない。」とされていたわけで、改正前から未成年者の選挙活動は禁止なんです。今回の改正でネット選挙が解禁されたとはいえ、未成年の選挙活動の禁止については改正がなされなかっただけのことなわけです。
 あとは、Twitterにおけるリツイート(RT)ってのが、他人の選挙運動を広める行為と言えるかについてだけちょっと覚え書き程度に(公選法に関する資料とかほとんど持ってないので)。RTって元Tweetを自分のフォロワーに見えるようにするだけのことであって、誰かの発表した文書図画をコピーして配信するようなものとはちょっと性質が異なるような気もするところです。しかし、じゃあ自分のHPにリンクを張るような行為と同列に見るべきかというとそうでもないように思います。RTされたツイートがフォロワーに表示される仕組みに鑑みると、RTという行為は、RTした者によりそのツイート内容が広められる効果を持つことは明らかであるし、その行為が特定の政党又は候補者を支援するために行われる運動としての性質があるということはやはり否定出来ないように思います。
 なお、取締法規としての実効性はカスみたいなもんだとは思いますが、そうはいっても同条違反は一年以下の禁錮又は30万円以下の罰金(公選法239条1項1号)なので、未成年の方はこれを行わないことをオススメしておきます。


 ただ、現行法解釈としてはそうなるとしても、制度としてそうあるべきかはちょっと違う話ですし、どうあるべきかが議論されなきゃいかん(ただし、現行法解釈がどのようにされるかということは、当然の前提として共有される必用があるわけです)よね、と思います。20歳になるまでは選挙運動をすることが許されず、20歳になった途端に意識高く政治に参加しようという成人が誕生するかというとそれは疑問ではある(民主政の基礎たる「意識の高い市民」を望まない国家、というのはここではとりあえず想定しないものとしましょう)わけです。選挙が近くなると「投票ごっこ」をする高校のニュースとかが出るわけですが、そんなままごとするくらいなら学校内で選挙運動を許して実際の政党とかについて学校内で選挙を行なって同日開票(まあ実際の選挙に影響を与えないことを考慮しなきゃいけないし夜になるから翌日ですかね)する、というくらいの遊びがあっても面白いような気もしますし、政党の主張する政策の中身ってのを、未成年にも考える機会を付与するという点でいいことなんではないかとか妄想したところです。高校くらいのレベルで実体験として行なっておくと、秘密投票の大切さとかを身にしみて理解する機会があっていいかもs(うわなにをsry

 まあ冗談はさておくとしても、選挙運動して何が問題なんですかねぇという胡散臭さは今後もつきまとい続けることでしょう。なお、公選法は選挙事務所に設置する”ちょうちん”の数まで事細かに定めるうんざりする法律だし、ブログの更新は文書図画の頒布として禁じるくせにネット広告はやってOKだったり、人気投票の公表を禁じるけど投票予定アンケートをどのメディアも公表していたりと、色々とアレな定めも多くてこの際ちゃぶ台ひっくり返して考えなおしてみてはいかがかと素人なりには思うところですね。あとは、選管は早くYoutubeチャンネルでもニコニコチャンネルでもいいから政見放送をネットで見れるようにしてくれと思います。これはそんなに難しくないはずなんですがねぇ…