整理解雇[4要素/4要件]

 昨日の記事のリンク元に、yahooメールからのリンクがあって何やら不思議な気分。誰かこの記事についてメールしたんだろうか?誰に?何のために?

 そんなことより!

 先週の話。
 「日航解雇は無効」と提訴=元乗務員146人−東京地裁時事通信
 整理解雇撤回求め提訴:日航パイロット・客室乗務員146人:「4要件」守らず 安全軽視赤旗
 職場復帰までたたかう:日航の解雇撤回へ励ます会赤旗

 ご存知会社再建中の日航で、整理解雇された元従業員が解雇無効を求めて訴えを提起。赤旗の記事(特に二つ目)が面白すぎたので掲載。平塚らいてうさんは『元始女性は太陽だった』といいました。職場復帰までたたかい抜きたい」赤旗記事より)とかどういうジョークなんだろうか。かつて太陽であったのだから解雇してはいけない!ということか。斬新な。(ちなみに私は労働法ゼミですが、共産党赤旗は労働者のためにあるとは思ってません)

 さて、この記事では一体何が問題になっているのかというと、会社更生手続き中の会社の整理解雇とはどのようなものか、という問題。一般に整理解雇についての条件は、赤旗の記事にある「4要件」または「4要素」と解されている。この2つは、似ているようで大きく違う。まず、4つのポイントは共通していて、「人員整理の(経営上の)必要性がある」「解雇回避努力をした」「被解雇者の選定が不当でない」「事前に組合または労働者と協議を行った(同意を得る必要はない)」というもの。これを「要件」と解するならば、「すべての条件を満たしたとき」のみ整理解雇が認められる。一方、これを「要素」と解するならば、「4要素を総合的に判断して合理的と認められる場合」に整理解雇が認められる。この差がどこに現れるかといえば、会社更生法の適用を受けるなどの重大な経営状態の悪化があった場合に、それを理由に解雇回避の努力義務について軽減が可能か、という点が最大の問題になる。選定の不当さ(組合員を狙い撃ちしてクビにする等)について条件を緩めるというのは無理である。4つ目のポイントは形式的なモノ(合意がなければ整理解雇できない、などという規定が置かれたら整理解雇は100%不可能であろう)であって、最初から問題にならない。

 さて、私の意見では、これは4要素と解されるべきものである。経営状態の悪化の度合いは様々であり、どの程度に解雇の必要性があるかも様々である。今回のように会社更生法の適用を受けるほどの経営の悪化であれば、解雇回避のために行える努力も限られる。解雇回避努力について画一的な判断基準を設けてそれにより整理解雇可否の判断を下すことは、労使関係の実情を無視した判断となる。会社更生手続き中の会社においても解雇回避に「十分な努力をすること」を求めるのは、労働者と企業との共倒れの危険を増加させる。

 ・・・そもそも業績の悪化する企業というのはその業務サイクルのどこかに問題を抱えているわけで、その問題のうちメジャーなものの一つが「高コスト体質」であり、その改善に法がブレーキをかけるシステムはそろそろ改めたほうが良いと思う。会社つぶれるって時にまで雇用の維持を強要するのはマジ恐怖。司法の役割がそんなものだとは思いたくない。