手前はいくさ人…芸者ではない
人を殺すための技などことさらに披露する気はない

花の慶次 8―雲のかなたに (バンチコミックスデラックス)

花の慶次 8―雲のかなたに (バンチコミックスデラックス)

 8巻。上の台詞には、かの有名な『虎はなにゆえ強いと思う? もともと強いからよ』が続きます。さらに「虎が鍛錬などするかね?貴様はもともと弱いからそのような凶相になるまで修行をせなばならぬのだ、哀れなことよ」という感じのひどい台詞が続くんですが、この一節は武術の本質をよく示しているものでもあると思います。
 慶次本人は「慶次の剣には、習って身に付けるどのような型もなかった」などと書かれているように生来の絶対的な強者としてかかれています。一方で「武術」「人を殺すための技」などというものはそもそも劣るものが強者に対して勝つために考え出されたものです。慶次のような人間に凡人が近づこうとするためには容貌が変わるほどの修行も必要となるのだ…ということもまた真なのです。まあ漫画の中では結局一刀両断されてしまうわけですが。

 あんまり関係ないけど見開きで酒を酌み交わす慶次と伊達政宗の絵が好きです。