終わってなんかいない

 数学だけでなく、センター物理も範囲が減っているらしい。(生物化学はしらないよ)

 政府は、やっとゆとり教育からの脱却を掲げたが、その影響はまだこれから社会にダメージを与えていくと思われる。

 多くの総合大学で、人数の多い学部のひとつに工学部がある。工学部は、卒業後に技術者として使える人間を生産するためにあるといえる。つまり、日進月歩の「技術」というものを扱う人間を作るのであるから、大学で教えるべきことは日々増えている。しかし、文科省は小学校・中学校・高校の全てにおいて数学や理科の内容を削った。高校までで教えられるものは減り、大学を出るまでに身に着けなければならないものは増え続ける。こうしてしわ寄せは大学と大学生に集中する。
 今まででさえ工学部は院まで行って6年学ばなければ人材にならない、などと言われ、更には国立大でも工学部の留年率が3割などというところも出ている。この上新指導要領で学んできた学生が入学してくる。ゆとり教育でなくなった世代の学生が入学してくるまでに、大学の体をなさなくなる学校すら出てくるだろう。

 ゆとり教育からの脱却は正しい。しかしこれまで行われたゆとり教育は、初等教育から高等教育まで全体の学力の低下をもたらし、さらには今後何年にもわたって国力の低下の要因となるだろう。