Can it be worth my life?
それはケガ人を、あるいは犠牲者を一人増やすことになるだけかもしれない。




 数年前に亡くなった師範は常々こう言われた。

 町でナイフを持って暴れているものがいたとして、自分に刺させてでも止めようという気概のないものは武道を学ぶ資格などない、道場を去るべし、と。


 命あっての物種であるとか、そんなクズのために命を危険にさらす価値はないとか、まず通報しろよとか救助しろよとかいろいろあると思います。
 そして、全長23cmのナイフなんてでっかいです。大きめの果物ナイフくらいで、サバイバルナイフなんていうんだからきっとごつい刃物です。実際に目にしたならば結構な恐怖だと思います。


現場にいたら、そのすべてを乗り越えて、俺は彼の前に立てただろうか。



ただ確実に思えるのは、そこで傍観したならば、古来より受け継がれた武士の道を自ら捨てることになるのだろうということ。正義と呼んでも、誇りと呼んでも、独善と呼んでも結構。それこそが侍たちが何よりも重要なものとして魂に刻み、文字通り命を賭けて守ってきたものではないかと思う。