「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)に関する意見募集について

以下、
「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)に関する意見募集について
パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
につき、送信したパブコメの内容。

(1)「児童ポルノ」定義の不明瞭性について
 本総合対策において、第一に「児童ポルノ」の定義を明らかにされたい。素案には児童ポルノによる被害児童についての統計及び被害児童のケアについて言及がされているが、児童ポルノそのものの定義について何ら示されていない。刑罰による威嚇及び閲覧そのものの技術的手段による阻止という高度の制約を課す以上、実際の児童に対する性的搾取の存在を前提とした画像・映像・音声等に限ると明記するべきではないか。
(2)児童ポルノ排除対策推進協議会の構成について
 児童の性的搾取からの保護については、該当行為そのものに対する刑罰及び流通の阻止が必要である。しかしこれらの行為はいずれも一般国民の権利を制限する行為であり、憲法的観点からの正当性の担保が必要である。しかしながら、推進協議会の構成団体は、教育・福祉団体、行政・警察外郭団体、宗教団体を基盤とするNPO等の利害関係者が名を連ねる一方、「推進」協議会の名の通り、権力活動を抑制的に用いる観点に欠けるのではないか。憲法的観点からその正当性を検討し、必要最低限を超える制限を行わないようにするために、構成団体の偏りを修正されたい。
(3)ブロッキングについて
 ブロッキングは、一応任意での協力を求めるかたちで行われているとされている。本総合対策において導入が目指されているブロッキングは、仮にこれを警察ないし行政機関が行う場合には、表現物の社会からの全面的排除を目指して、表現内容を審査した上、対象とされる表現物につき網羅的一般的に、不適当なものの存在を排除する行為であり、税関検査事件(最大判昭59・12・12民集38-12-1308)にいう「検閲」そのものであり、憲法21条2項がこれを禁じるものである。
 本対策では、「悪質な関連事業者に対する責任追及の強化」が盛り込まれている。悪質業者に対する責任追及の必要性を否定するものではないが、責任追及強化と任意協力の双方が予定されていることに問題がある。両規定の存在により、「悪質な関連事業者に対する責任追及の強化」の脅しを以って「ブロッキングの自主導入」の促進を行うことが危惧される。その場合には任意性など事実上存在しない意思決定に基づきブロッキングが行われることとなる。結果として憲法の規定を潜脱して事実上の検閲を行うものとなり、許されないと考えられる。


税関検査事件の判例にいう検閲概念はちょっと言葉を変えているしその理由も本当は説明しなきゃいかんのですが、何せ1000文字という制限なのでちょっと無理がありますね。