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- 作者: 宮崎学
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/05/01
- メディア: 新書
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「暴力団を社会から排除する」理念のもと、警察の指導で全国につくられた暴排条例。暴排条例によって、警察ではなく市民が暴力団と対峙させられることになったこと、警察権力の拡大と恣意的な行使など、暴排条例によって何が引き起こされているのかを、暴力団に近い側の視点から書いた本。多少、傾向的視点であることは割り引いて読む必要があるものの、実例を上げて「暴排が引き起こす問題」に引きこむ書きぶりはなかなか読ませる。以前読んだ溝口敦「暴力団」の内容の薄さとは比較にならない面白い本。
ヤクザなんているだけで危ないからいくらでも条例でも法律でも作って社会から追い出せばいい、と考える人は多くいるのだと思いますが、それによって社会の抱える生きにくさが克服されるわけではなく、同様の理論でマイノリティを社会から排除する下地を作ることでもあります。起こした犯罪に対する処罰とは別に、構成員を社会から追い出そうとする仕組みを作ったら一体何が起こるのか、ちょっと考えてみてもいいと思います。