違法ダウンロードに罰則 民自公、著作権保護を強化(日経)


 損害額推定規定創設→「無許諾ダウンロードによってこんなに多額の損害が!違法化しなければ!」
 DL違法化→「違法化しても無許諾DL減らない!見せしめに刑罰を科さなければ!」

 ・・・で現在に至る刑事罰創設。泥縄式に対策を打ち出してみたものの、これをやってもCDが売れるようになるわけではないでしょう。今後も音楽業界は先細る一方でしょう。


 一件のULがあれば大量のDLが行われうるネットのこと、ULの取り締まり強化の方が合理的じゃないかとか検討されたんだろうか。DLはチキンでもできる(そしてみんなで渡る)けど、ULは多少の覚悟をした阿呆にしか出来ない。その覚悟のハードルを上げるほうがよっぽど無理なく目的を達成するんじゃないかな。年間何千万だか何億だかある無許諾DLを刑罰の威嚇によって減らそうという、刑事罰の補充性を投げ捨てた感ある斬新な発想には違和感しか感じない。
 「違法DLするような奴は一人残らず悪人なんだから刑罰でもなんでも課せばええんや」で刑事罰を課すのもそもそもどうかと思う(最近の暴排条例なんかも同じようなノリですな)ところ、無許諾DLの監視は通信の監視以外の何物でもないこととか、(おそらく十万〜百万人単位で被疑者が発生する中での)恣意的な捜査対象の選択がされることとかの想定はしてるのだろうか。


 北米での調査では、無許諾DLの数の多いユーザーはCDを買う額も多いという相関関係があるとしたものがあります。
 Canadian Study: Piracy Boosts CD Sales
 日本では無許諾DLの利用者層が若いとされていて、日本でも同じ結果になるとはいえないと思われますが、この記事は無許諾DL万歳、とかそれだけの話ではない。著作権法1条が謳う著作権法の目的は「著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること」です。文化の発展こそが目的であって、そのための手段として著作者等の権利の保護があるに過ぎないのだとすれば、保護がどの程度必要かの具体的な議論こそが必要なんであって、「どう保護するのか」という、手段のための手段が独り歩きしている現状は、文化の発展には寄与しなさそうだな、という気がしますね。


 参考のオススメ記事。
【特別寄稿】踏みにじられたユーザーの意見、暴走するダウンロード刑罰化 - 小寺信良(Blogos)
MIAU代表、小寺信良氏の3月の記事。