表現の自由と暴力表現:米国の場合

 米最高裁、暴力的ゲームソフト販売禁止法に違憲判断(WallStreetJournal日本版)

 米国の暴力的ゲーム規制法に最高裁が違憲判断、表現の自由を侵害(Engadget日本版)

 原文:http://www.supremecourt.gov/opinions/10pdf/08-1448.pdf(米連邦最高裁

 (日本語記事は、両方読んだほうが法的な要点をおさえれるのでおすすめ)

 この判決のミソは、
 第一に「未成年者の保護を目的とした法であっても表現の自由の規制に対する制限に服する」こと
 第二に「ビデオゲームも書籍等と同様に言論の自由の対象である」こと
 第三に「"Reading Dante is unquestionably more cultured and intellectually edifying than playing Mortal Kombat.But these cultural and intellectual differences are not constitutional ones.(原文9頁脚注)"とあるように、表現の自由の規制に、芸術性等の価値判断は持ち込まない」こと

 が示されてることじゃないですかね。第一の点については法をかじったことがある程度でも知っていなきゃならん話ですが、一般的にはあまり理解されていないことだと思います。意見書の中では子供向けを含む一般的なFairly Tailの類であっても暴力要素を含んでいることも述べられ、暴力表現一般を子どもから遠ざけること自体に疑問が呈されてるんじゃないですかね。原文きっちり読んでないですが。

 この判決が日本に影響を与えるかは未知数。日本はもともと暴力表現については米ほど(社会的にも)厳しくなかったような印象があるけど、実際どうなんだろう。米はDiabloがage17+指定だったようなおぼろげな記憶がある。といっても、あれももう15年前の話か。現状を知らんと何も言えんな!