後期高齢者医療制度にみる民主制の限界

 75歳以上の8割が国保に…高齢者医療で中間案(読売)

 昨日に続き残念ニュース。こいつら何も進歩せんな。国保に統一すると言いながら75歳以上は国保の中で別会計(別会計にしなかったら破綻するが)では、後期高齢者というラベルをはがしてみただけで中身がほとんどかわらんじゃないか。別にこれを考え出した官僚を叩こうというわけではない。後期高齢者医療制度自体は考え抜かれた上で出来上がった、必要な制度である。問題はそれを、ろくに考えもせず廃止廃止と叫ぶおなじみの与党にある。後期高齢者医療制度という看板を早く取り外したいという票集めの目的以外の何も感じられない。制度の名前をいじってる暇があったら、社会保障費全般の無秩序な増加を抑える方法でも考えて欲しい。
 NHKのニュースでインタビューされてた巣鴨のお年寄り曰く:
 「なんでもいいから今よりいい制度にしてほしいです。」
 しかし、これだけは言わせていただきたい。あなたにとって今より良い制度というのは自分の負担が少なくて保険料が天引きされない制度なのでしょう。しかしそれは、将来の世代に負担を先送りして現在の高齢者を甘やかす制度に過ぎないのです。あなたが今よりいいと考えている制度は、私と同じくらいの世代や私より下の世代、そして誰よりも、今後生まれてくるであろう世代にとっては、確実に今より悪い制度なのです。

 ここに、民主制の限界を見ることができる。未来を売っていまのカネに変える政策(あるいはそれを行う公約をする政党)が選ばれるのが民主制の仕組みである。その負担を背負わされる、未来に選挙権を持つ・未来に誕生する世代は現在の政治に参加する権利を持たず、老い先短い世代ほど未来に対する責任を負わない。数多くの問題を克服しながらなんとかやってきた民主制だが、現在の世代間の衡量ならまだしも(これも決してうまくいくとは言えないが)、現在と未来の間の衡量を真っ当に行うことが出来ないという点についてだけは、未だに克服の道は見えていない。