通信が営利企業に盗聴される日

「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策(asahi.com/朝日新聞社)

 おいおい・・・頭大丈夫か?おかしいのは俺じゃないよな・・・?googleAmazonのターゲティング広告とは意味が全然違うんだぞ・・・?
 “流出を防ぐ指針作り”などという寝言の前に、営利企業による盗聴の許可という制度そのものがおかしいことに早く気付けよ。


 同様に通信の秘密が保護されている通信手段である電話に置き換えて言えば、個人の電話を全部盗聴して通話データを全部業者へ売った上で、その人の興味を引きそうな商品の広告の電話をかけます、という広告業の許可を与えるに等しいわけですが。
 『利用者の合意があれば良いのでは』という総務省の事務方の発想は、一般的なインターネット利用者の、情報を盗み見られるリスクに対する無知と、情報を盗み見られない憲法上保証された権利に対する無知につけ込むものでしかない。上の例でいえば「あなたの合意さえあればあなたの電話を全て盗聴した上であなたに広告を送らせていただきます」という提案に等しいわけで、そのような提案に誰が進んで同意すると考えているのか。


 通信形態の性質上、電話や信書に比べてインターネットの通信の秘密というのはもともと守られにくいものである。しかし、それを理由としてインターネット上の通信の秘密の保護を、他の電話・信書等の手段の通信の秘密の保護に比べてうすくしてもよいという理論の帰結がもたらされるべきものでは全く無い。電気通信事業法3〜4条が検閲禁止と通信の秘密の保護を定めているのは憲法21条2項に定められた通信の秘密の不可侵を私人間においても担保しようとするものであり、その保護対象は通信の内容はもとより、その発信者・受信者の氏名居所及び通信の日時等、通信の関する全ての事項に及ぶものと解される。反面、通信の秘密に対する制限は、犯罪捜査等のために限定的に認められているに過ぎない。個人の通信の内容を営利企業に売り渡すがごとき制度が存在し得るとすべき論拠は存在しない。


 長々とどうでもいいこと含め書いてきたわけですが、何が言いたかったかというと当該作業部会の総務省の役人(誰かなんて知らないけど)は、無知なのか何も考えてないのかのどっちかだよ。そうでなけりゃ、DPI技術を使っていずれ自分たちが検閲若しくはそれに近いことをやりたいと考えているとでもいうのか。勿論後者が比べものにならないくらいマズいことなのは言うまでもない。

 *00:27出典付け忘れ修正