全体主義の時代

 民主党幹部の口から「憲法」という単語が飛び出すたびに寒気がしてならない。菅の「日本国憲法三権分立は無い」発言しかり、今回の小沢の「憲法と民主主義を全く理解していない」しかり。菅発言はあまりにモノを知らないというか中学生レベルの屁理屈なのでさて置くとして、小沢の発言には戦慄を覚える。天皇は国民の統合の象徴として特別扱いされるのに、なぜその行いうる行為についてはあれほど制限されているのかについて彼は理解しているのか。条文の言葉尻をとらえたオレオレ解釈でなく、歴史と憲法制定の経緯においての理解をいったいどの程度しているのか。政治家と言うからにはその程度当然に理解しているものと思っていたが、残念ながら過度な期待をしていたようである。己と己の党の党利党略のために国民の統合の象徴を利用せんとするような人物が国の中枢にあるということに恐怖を感じる。
 また彼は民主主義をも曲解している。自身が選挙で多数を得たのをいいことに、「〇〇党を潰す」などという事を当然の事のように口走る。55年体制の否定と政権交代の利益を説きながら、実質的には政権交代の起こらない民主党の一党支配体制を作ろうとしている。新たな「09年体制」とでも呼ぶべきものを作ろうとしているのだ。選挙で勝ったことの当然の延長として対立政党を潰そうというのは、かつての国家社会主義ドイツ労働者党を選ぶところなしと言われてもおかしくないだろう。それを選んでしまったのもまた我々国民自身ではあるが、一体日本国民は今、どのような支配者を戴いているのか。そのことを今一度、各自が見定めなくてはならない。