それは怒りから始まった

 このダイアリーが出来てから今日でちょうど一年になります。そこからもう少し遡り、もう一度大学に行こうと思ったきっかけとなった出来事について語ります。



 一年と1ヶ月ほど前、サブプライム問題云々が言われだす半年と少し前のことです。実際の卒業の見込みはほとんどありませんでしたが、親の手前、一応卒業見込みという触れ込みで、就職活動のようなものをしていました。合同企業説明会に参加した時、基本情報技術者の資格を持っていたこともあり、IT企業のブースをメインで回っていました。その時立ち寄った会社のひとつが、ある大手輸送機器メーカーの孫?ひ孫?くらいのソフト開発会社でした。普通に会社の概要を聞いた後、労働環境についての説明があったわけですが、なんか四半期ごと(だったかな?)の残業時間の推移とかのグラフがあるわけですよ。そこ見ると60くらいから45とかに推移して行ってるのが見えるわけです。ITで60とかウソだろwwwって思ってたら、なんとおっちゃんが正直な話を始めるわけですよ。ウソで塗り固めたどっかのFソフトあべし等とは一味違うぜ!
 そのおっちゃんが言うには、「うちも残業200時間なんてザラにあったんだけどね。最近は外注とかするようになって半分くらいに減ってるよ」ということでした。引きつった笑いの陰でだんだん腹が立ってきました。もちろんこのおっちゃんが悪いわけじゃないだろう。だけどその言葉は三重におかしいんじゃないのか。まず残業200時間ってどういうことなのか。法定労働時間の2倍以上働くいうことか。2倍以上??意味がわからない。外注。それは結構な話だ。外注先がきっと200時間残業して作ってるんだろう。半分ってなんだ。100時間か。それも十分おかしいだろ。


 この国の労働を取り巻く環境は異常だ。でも中にいる人はそれが普通だと思ってる。俺はここには入って行ってはいけない。これは中から修正が出来るようなものじゃない。これを変えるには個人の能力や技術は役に立たない。あと一年二年工学部にいて卒業したって、院を出たってだめだ。力がいる。権力がいる。今からならまだやり直せるんじゃないのか・・・




 という出来事があり、一年浪人して社会科学系の学部に行こうと決意するに至ったのでした。今思い出せば、あのおっちゃんには感謝しなくてはならないかもしれない。