現実はいつでも作り話を凌駕する。

米軍、各地で越境地上作戦 政権移行にらみ態勢強化か(47NEWS)

米軍が国境を越えてシリア国内で軍事作戦を実行。
これを見て思い出したのがこれ。

いま、そこにある危機〈上〉 (文春文庫)

いま、そこにある危機〈上〉 (文春文庫)

いま、そこにある危機〈下〉 (文春文庫)

いま、そこにある危機〈下〉 (文春文庫)

トム・クランシー「いま、そこにある危機」
原題の"Clear and present danger"というのは、法律用語で「明白かつ差し迫った危険」という、自由権の制限を行い得る条件かなんからしいです。専門的なことは知りませんが。
いつだったか映画にもなってたはずです。見たことないですが。


 ものすごく大雑把に書くとこんな感じの話です。

 大統領選の近づいた米大統領は、目に見える麻薬対策の結果を求め、主権侵害であることを承知しながらコロンビアへ密かに部隊を送り込む。一定の成果を挙げるが、マスコミにばれそうになり、国外の情報機関にも漏れ、政府高官は麻薬組織に買収される。大統領はコロンビアの民間人に被害が出たことを聞いて醜聞を恐れ、送り込んだ部隊を見捨てて口をぬぐおうとするが…というところで主人公のジャック・ライアンが現れて海兵隊やら沿岸警備隊を巻き込んで救出作戦に向かう、というようなお話です。「レッド・オクトーバーを追え」から続くジャック・ライアンシリーズの一作。分厚いので気合がいりますが話の組み立て方はさすが米国有数の作家という感じです。ちょっと古いので本屋ではもうあんまり見かけないと思いますが、おすすめ。



 話を現実に戻して、今まさにこんな感じです。

 大統領選の近づいた米大統領は、目に見えるテロ対策の成果と抑止力の強化を求め、主権侵害であることを承知しながらシリアへ密かに部隊を送り込む。

 ここまでは同じですが、続きはこうです。

 一定の成果を挙げ、中東諸国やロシアの批判を受けるが、米当局は「作戦は成功した」と開き直った。

 とこう続くわけです。


 くだんの「いま、そこにある危機」は冷戦時代に書かれたものです。つまりアメリカという国は冷戦時代なんかよりよっぽど攻撃的になっているとも言えるのでしょう。